ご挨拶

2期目の会長就任のご挨拶

この度,理事会において,2期目の会長のご推挙をいただきました。内分泌撹乱学会として,大きな分岐点となるこの時期に会長を続けることになり,身の引き締まる思いでおります。副会長の先生方および事務局長の宮崎先生と共に学会の活性化に向けて努力を続けていきます。何卒ご協力のほど,お願いいたします。
私の1期目には,学会名を変更し,また会則や細則を整備して学会の運営を健全かつ透明度の高いものにするよう努力をいたしました。また,開かれた学会を目指し,ニュースレターもHPから公開することといたしました。今期はさらにHPもリニューアルし,社会への発信を強化すると共に,より魅力ある学会になるように改革できるところは改革を続けて参ります。
一方,大変憂慮しているのは会員数の減少です。PFASや農薬など,私たちの研究テーマは社会からのニーズも高く,研究費も大幅とは言えないまでも増額傾向にあると理解しております。しかし,この傾向を反映して,学会大会が活気あるものになっているか,と言えば,そうではないと言わざるを得ない状況です。他学会との合同大会は数の力もあり魅力的でより活気があるように映るかもしれませんが,合同大会を続ける中で撹乱物質学会のアイデンティティーが保てるかどうかは疑問です。実際合同大会を重ねていくうちに会員数が減少し,単独では学会大会が開催できなくなった学会があるとも聞いております。本学会ならではの研究は多くあります。それをなんとか伸ばしていきたいと考えます。そのため,私の会長のうちは,単独開催を念頭に学会大会を運営していこうかと考えております。会員の皆様方におかれましては,ぜひ学会大会への積極的な参加をお願いいたします。
学会の活性化には会員の皆様お一人お一人のご協力が欠かせません。何卒お力をお力をお貸し下さい。

群馬大学
鯉淵 典之

 

 

副会長就任のご挨拶

この度、鯉淵新理事長、並びに新理事の先生方のご推挙をいただき、副会長を拝命いたしました。国立医薬品食品衛生研究所を定年退官した後も、引き続き同客員研究員として、同毒性部の先生方や現役時代からの共同研究者の皆様のご高配を賜り研究を継続させて頂いております。特に内分泌攪乱化学物質問題については、「シグナル毒性」の重要な標的であると信ずるところの「中枢神経系の発生発達期」を主対象とした「子どもの毒性学」を、日本毒性学会、日本中毒学会や日本学術会議・毒性学分科会等において、何とか進めて参りました。国民の健康を衛り、その集合体である国家の近未来を衛るための「リスク評価」が、中央政府レベル、企業レベル、自治体レベル、家庭レベル、個人レベルで日々行われている訳ですが、「リスク」=「ハザード」X「曝露」の内の、「ハザード」の「同定」に私は長らく関わって参りました。本学会の今後を見通した際のハザード同定と曝露評価のバランス調整のお役に立てれば幸甚です。

国立医薬品食品衛生研究所
菅野 純

 

この度、副会長の再任を仰せつかりしました愛媛大学の鑪迫です。微力ながらも、精いっぱいこの責務を全うし、皆様と共に本学会の更なる発展に貢献できるよう努めてまいります。今後ともご指導、ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願いいたします。
内分泌撹乱物質問題を取り巻く国内の動きは、12年前の平成24年8月に水生生物の保全に係る環境基準の項目に内分泌かく乱化学物質の一つであるノニルフェノールを新たに追加する告示が施行(理由は内分泌撹乱ではない)されて以来、特にありません。世間では内分泌撹乱物質問題は終息した感があり、弊学の最近の学生は、入学時には内分泌撹乱を環境問題として認識してないどころか全く知らないという者もいます。しかし環境省では「化学物質の内分泌かく乱作用に関する今後の対応 -EXTEND2022-」のなかで、「化学物質の内分泌かく乱作用に伴う環境リスクを適切に評価し、必要に応じて管理していく」という目標を2030年まで継続するとしており、さらに評価検討の対象物質も環境省の枠を超えて農薬、医薬品をはじめとする PPCPs 等についても積極的に取り上げることになっています。
本学会を通して、内分泌撹乱物質問題に対して科学的な独立性・公平性を固持しながら真摯に向き合い、市民や行政に対して情報を提供して環境や生活の安全性拡充に貢献出来たら幸いと考えております。

愛媛大学農学部生物環境学科 教授
鑪迫 典久

 

この度、前期に引き続き副会長を拝命しました千葉大学の戸髙恵美子です。本学会が発足して25年が経過し、新しい知見により研究対象となる物質類も増えてきました。近年、日本ではこれらの物質についての研究が減る傾向にあるのが残念ですが、WHO(世界保健機関)は同物質を「公衆衛生上、優先して対策しなければならない物質類」としています(WHOのChemical Safetyのウェブサイト参照)。PFAS類、マイクロプラスチックなど、注目を集める汚染物質に加えて胎児期・小児期曝露による成長後の健康影響や、父親の環境汚染物質暴露による次世代、次々世代への影響など、新しい分野の報告も増えてきています。これからますます、社会にとり重要になってくるのが内分泌かく乱物質です。この重要なテーマについての研究者を一人も多く増やしていくのが本学会の使命と考えます。そして、本学会が発展していくためには、メディア、自治体など、社会全体からの支援が必要です。若い世代の研究者の皆様に内分泌かく乱物質についての研究に興味を持ってもらい、社会からも支援が得られるよう、告知活動に力を尽くしてまいります。今後も皆様方にご指導いただけますようよろしくお願い申し上げます。

千葉大学予防医学センター 教授
戸高 恵美子